遠州弁講座


3.応用編 ”近所の人々の会話 ”

とりあえず、読んでみましょう。


「いやぁ、今年の夏はあつかったのぉえ。」
「ふんとだのぉえ。おらぁ、暑いの苦手だもんで、夏ばてでいっそ食欲ないんだによ。」
「うそぉこいて、丼飯食っといて、何をこいてるだ。まぁ、そんでも、だいぶ気候もよくなってきたで、紅葉もいい頃だらなぁ。どうでぇ、こんだの休みに弁当もって、紅葉狩りいくっちゅうのは。
赤く染まった山ぁ見ながら一杯っつうのもいいら。」
「さすが言うことんちがうのぉえ。ほんだん、花見で一杯っちゅうのはよく聞くだん、紅葉狩りで一杯ちゅうのはあんまし聞けへんにぃ。それに、おらぁ、お酒のほうはどうもだめでぇ。」
「あ、そうけぇ。いける口だと思ったんなぁ。」
「それんいっそよかねぇでぇ。だいたい、正月ん時買った”賀正”っちゅうラベルん付いたビールあるらぁ、あれん、おめぇ、夏の祭りのじぶんまであるでの。」
「そうけぇ。ひょんきんだのぉえ。ほんじゃぁ、食うほうはいいだらぁ。」
「あぁ、まかしょうだによ。よっぽどなんでも食うだん、弁当で一つ良かないのんあるでぇ。子供ん頃、学校行く時カバン中へ弁当箱縦にして入れてくら。そうすると、おかずの汁んご飯の下の方へ染みるじゃんのぉ、あの汁ん染みた飯ん嫌いでぇ。それと、香々、飯の上ぇのせたとこん黄色くなるら、あの飯もだめでぇ。」
「なんでぇ、香々嫌いけぇ。」
「そうじゃないでぇ、香々は好きだん、香々の染みついた飯ん嫌いでぇ。」
「変なやつ。」

会話の内容はお分かりいただけましたでしょうか?
そして、標準語で言い換えたのが、こちら。

 

「いやぁ、今年の夏は暑かったですねぇ。」
「ほんとですねぇ。私は、暑いの苦手なので、夏ばてしてしまってますます食欲ないんですよ。」
「またまた冗談を、いつも丼でご飯食べているのに、何を言ってるんですか。まぁ、それでも、だいぶ気候もよくなってきたから、紅葉もいい頃でしょうねぇ。どうですか、今度の休みにお弁当もって、紅葉狩りいくというのは。
赤く染まった山を見ながら一杯っていうのもいいんじゃないですか。」
「さすが言うことがちがいますねぇ。それでも、花見で一杯っていうのはよく聞くけれど、紅葉狩りで一杯っていうのはあんまり聞きませんねぇ。それに、私、お酒のほうはどうも苦手で。」
「え?ほんとに?いける口だと思ったんですけどねぇ。」
「それがそうでもないんですよ。だいたい、正月の時に買った”賀正”っていうラベルが付いたビールあるでしょう、あれが、あなた、夏の祭りの頃まであるんですよ。」
「ほんとうに?それはすごいですねぇ。それじゃ、食べる方はいいんでしょう?」
「あぁ、まかせてくださいよ。ほとんどなんでも食べるんですけど、お弁当で一つ苦手なのがあるんです。子供の頃、学校行く時カバンの中へ弁当箱縦にして入れてくでしょ。そうすると、おかずの汁がご飯の下の方へ染みるじゃないですか。あの汁が染みたご飯が嫌いなんですよ。それと、つけもの、ご飯の上にのせたところが黄色くなるでしょ、あのご飯もだめなんです。」
「どうして?つけもの嫌いなんですか?」
「そうではなくて、つけものは好きなんだけど、つけものが染みついたご飯が嫌いなんですよ。」
「おかしなひとですね。」

なんだか、他人行儀というか、おカマっぽくなってしまいましたね。
上の文章だと、農家の人たちのお昼休み中という感じ、
下の文章だと、公園で休憩中の営業回りのサラリーマンといったイメージでしょうか?

遠州弁・・・それはひとなつっこい、愛嬌のある言葉なのかもしれません。
以上、浜北市の方々の会話を抜粋しました。

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